上高地はアルピコの物?

アルピコカラーの松電

松本電鉄上高地線©全国おじてつ撮影紀行

電鉄・バス・タクシーなどの地域~広域の公共交通、ホテル・旅館・飲食店、流通、レジャー産業、システム開発、建設、報道…。
長野県松本市に本拠を構えるアルピコ交通(旧松本電気鉄道ほか交通部門)が中核の企業グループ・アルピコ。
その名は北アルプスに由来しalpine corporation(直訳すると「アルプスの会社」)の頭文字から命名されたそうです。

上高地のマイカー規制が始まった当初(昭和50年)の事情や状況は判りませんが、平成8年に始まった通年のマイカー規制、平成16年の観光バス規制の際はいずれも「メインバンクの八十二銀行と、長野県、松本市による地元企業・松本電鉄の経営を救済する意図がある。」とも騒がれました。
実際、平成19年メインバンクの八十二銀行に対し、私的整理ガイドラインに則った再生支援を要請(つまり経営破綻、借金を棒引きにして欲しいと頼んだ)、この再生支援要請を成立できたのは、松本市が銀行に対して猛烈な圧力をかけたからとも聞き及びます(根拠に乏しい請売りですが、松本市はアルピコの再生のみならず、八十二銀行と共に市内に拠点をもつ多数の負債を抱える企業をアルピコに吸収させる計画を主導したとも)。

上高地は松本市に属します。最寄駅は松本電鉄・新島々駅(上高地までは松本駅からの距離14.4kmよりまだ遠い)。 当然と言えばそれまでですが、上高地への路線バス・高速バスはごく一部の路線を除いてアルピコ(他社の路線バスも少しはあるけど、それはアルピコが相手方ターミナルへ乗り入れる代償)。 上高地内にあるホテルや施設もアルピコ系列または松本市の資本・資金が入り、買店なんてその名も「アルピコショップ」。
低公害バスの導入にあたっては、普通車との差額以上の助成金が長野県から支払われ、必要以上に大きく作られたバスターミナルには公的資金がジャブジャブに…
アルピコはどこまでも松本市と長野県から手厚い優遇を得ています。

新島々から5色のアルピコカラーが各所に続き、沢渡では関所の様に通行を阻まれ(乗換え)、アルピコなしにはたどり着けない上高地。
安房トンネル・新釜トンネルの開通でかなり近代的になったので、今ではその感覚も薄れましたが、穂高を背にしたアルピコ王国の山城要塞へ向っているかの様に感じていたのは私だけなのでしょうか。

低公害シャトルバスの例

上高地を走るハイブリッドバス

アルピコ(松本電鉄)グループに恨み、不満はありません。
地域の振興に尽くしているとも取れますが、かなり高額な沢渡~上高地のシャトルバス運賃、やたらにでかい沢渡・上高地のバスターミナル。
上高地観光の為に各地から訪れる観光バスをも排除し、路線バス・高速バスも自身の乗入れに関わる会社以外をバスターミナルに入らせない。登山鉄道計画なんて何をか言わんや。

アルピコと松本市は上高地を私有私物化、食い物にしている感は否めませんね。